消費者の日常に欠かせないキャッシュレス決済は、単なる支払手段に留まらず、POS連携によって店舗の売上アップにつながるヒントを与えてくれます。
POSシステムの導入とキャッシュレス決済のデータ連携を検討している方の中には、どのようなデータが取得でき、それを販促や業務改善にどう活用できるのか気になっている方も多いでしょう。
そこで本記事では、POS連携で取得できるデータや店舗・施設への導入メリット、具体的な導入ステップまで詳しく解説します。
POS連携で取得できるデータ項目と活用法

POSシステムとは、「販売時点情報管理(Point of Sale)」の略称で、商品の購買データを管理するシステムです。
商品名や価格、日時といった基本的な販売情報に加え、売上・顧客属性・在庫状況・支払い方法など、店舗運営に関わる多様なデータを収集・蓄積できます。
ここでは、POSシステムとキャッシュレス決済の連携で取得できるデータ項目と、その活用法を詳しく解説します。
売上データ
POS連携でリアルタイムに取得できる売上データには、以下の情報が含まれます。
- 商品名
- 価格
- 数量
- 販売日時
- 販売店舗
これらのデータは、以下の単位で集計・出力が可能です。
- 日次
- 週次
- 月次
CSV形式での出力にも対応しており、構成比の項目追加や、売上金額での並べ替えなど、分析しやすい表にアレンジすることも可能です。
これにより、「売れ筋商品」や「死に筋商品」の抽出、「季節や時間帯ごとの需要予測」など、多角的な分析が可能となり、効果的なキャンペーン戦略の立案にもつなげることができます。
顧客データ
POSシステムによっては、顧客の購買行動に紐づく詳細なデータも取得できます。
例えば、店舗のポイントカードや会員証の提示があった場合、以下のような情報を取得可能です。
- 年齢層
- 性別
- 購入履歴
- 嗜好
- 来店頻度など
これらのデータは、顧客一人ひとりのニーズや行動パターンを深く理解するために重要な情報となります。
また、過去の購買履歴に基づくリピーター向けの特別なサービスや割引の提供により、顧客満足度の向上やリピーター増加、ブランドロイヤルティの醸成が期待できます。
在庫データ
POS連携により、商品の販売と同時に在庫数が自動的に更新され、リアルタイムで正確な在庫状況を把握できます。
例えば、最新データを活用して売れ筋商品の欠品を防ぎ、死に筋商品の過剰在庫を抑制するといった対策が可能です。
また、複数店舗の在庫を一元管理し、店舗間での商品移動を記録する機能や、在庫が一定量を下回ると自動で発注する機能を備えたPOSシステムもあります。
こうした在庫データの可視化は、仕入れの最適化や棚卸業務の効率化、さらにはフードロス削減にも貢献します。
支払い方法データ
キャッシュレス決済とPOSシステムの連携により、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、多様な決済手段の利用状況を可視化できます。
これにより、顧客の支払いニーズを分析し、店舗に最適な決済方法の導入・強化に役立つ貴重な情報源となります。
例えば、QRコード決済の利用が多い店舗では、複数のQRコード決済を一括導入できるサービスを活用することで、レジ周りを整理しながら顧客の利便性を大幅に向上させることが可能です。
また、金額の二度打ちが不要になるため、人的ミスを抑制でき、会計時間の短縮による顧客満足度向上にも期待できます。
レポート・分析データ
POS連携によって集約された膨大なデータを多様な手法で分析することで、マーケティング施策の改善が可能です。
例えば、以下の分析手法がマーケティング施策の改善に有効です。
- ABC分析:売れ筋商品や死に筋商品を特定する
- RFM分析:顧客の購買行動を理解する
- バスケット分析:同時購入されやすい商品を見つける
また、陳列変更や販促キャンペーンなどの施策実施後にデータをレポートとして出力し、施策の前後で効果を比較検証することも可能です。これにより、施策の有効性を客観的に評価し、次の施策の質を高めることができます。
POSシステム導入による店舗運営のメリット

POSシステムの導入は、店舗のレジ業務効率化だけではなく、顧客満足度の向上やマーケティング戦略のアップデートなど、多岐にわたるメリットがあります。
ここでは、その中でも重要な3つのメリットを詳しく解説します。
レジ業務の大幅な効率化
POSシステムとキャッシュレス端末のシームレスな連携により、金額の手打ち入力や釣り銭のやり取りが不要になります。
その結果、スタッフの会計処理時間が大幅に短縮され、ピークタイムのレジ待ちのストレスを軽減できます。
また、レジ締め作業も自動集計によりワンクリックで完了するため、深夜や早朝における店舗スタッフの負荷も大きく軽減されます。
さらに、セルフレジやモバイルオーダーと組み合わせた運用により、少人数体制でもスムーズな店舗運営が可能です。
特に人件費やオペレーションコストの削減を目指す店舗にとって、大きな導入効果が期待できます。
リアルタイムなデータ収集と意思決定
POS連携により、売上・在庫・顧客行動データなどをリアルタイムで取得できるため、従来の紙やスプレッドシートでの集計作業を省略できます。
日別や時間帯別の顧客動向、決済手段別の利用シェアなどを瞬時に把握でき、マーケットの変化に応じてプロモーションのタイミングを最適化することも可能です。
さらに、POSシステムに蓄積したデータの可視化により、売れ筋商品や閑散時間帯の分析も簡単に行えます。これらのデータを活用すれば、ピークタイムに合わせた人員配置や在庫補充の判断もスピーディーに行えます。
このように、POSシステムは「感覚」ではなく「データ」に基づいた意思決定をサポートします。
機会損失の低減と顧客体験の向上
POSシステムとキャッシュレス決済の連携により、在庫数がリアルタイムで更新され、人気商品の欠品を未然に防げます。
また、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など複数の決済方法を一つの画面で処理できるため、レジ待ちのストレスを大幅に軽減できます。
さらに、蓄積データを活用して顧客属性や購買履歴に基づくパーソナライズされたクーポンを配信すれば、顧客の興味・関心に合わせた特典を最適なタイミングで届けることも可能です。
こういった取り組みは、顧客の再来店率やLTV(顧客生涯価値)の向上につながり、ファン化を促進します。
【関連記事】QRコード決済の種類と導入ガイド!店舗に最適な決済ブランドの選定ポイント
POSシステム未導入の店舗のデメリットとその影響

POSシステムを導入していない店舗では、日々の業務効率の低下やデータ活用の遅れ、さらには顧客体験の質の低下といった課題に直面しやすくなります。
ここからは、POSシステム未導入店舗のデメリットを詳しく解説します。
データ把握の欠如と戦略立案の遅れ
レジスターからの打ち出しデータだけでは、「何が」「いつ」「誰に」「どれだけ」売れているかを正確に把握することは困難です。
例えば、曜日別の来客数や時間帯ごとの売れ筋がわからなければ、プロモーションの最適なタイミングを見極めるのも難しくなります。また、手作業で集めた売上データは集計ミスや入力漏れが起こりやすいです。
結果として、信頼性の低いデータに基づいてマーケティング戦略を立てることになり、意思決定のスピードや精度が大きく低下します。
経営判断をデータに基づいて迅速・正確に行うためには、POSシステムによるリアルタイムなデータ取得が不可欠です。
非効率な日常業務と人的ミスの増加
在庫管理やレジ締め、棚卸などの日常業務をすべて手作業で行なっている場合、スタッフにかかる負担は非常に大きくなります。
手入力のレジ打ちでは、誤入力や釣り銭ミスが発生しやすく、対応に追われることで顧客への接客が疎かになるリスクがあります。さらに、在庫数のズレから欠品や過剰在庫が起きれば、仕入れミス、販売機会の損失にもつながります。
こうした非効率な業務に追われていると、スタッフが本来注力すべき売り場づくりや顧客への提案といった付加価値の高い業務に時間を割けなくなり、店舗全体の生産性が低下するリスクが高まります。
キャッシュレス志向の顧客の取りこぼし
POS未導入店舗では、複数の決済端末を個別に運用する必要があり、端末の切り替えに時間がかかるためレジ待ち時間が長くなる傾向にあります。
これは、キャッシュレス決済を好む若年層や訪日観光客にとって大きな不満要因となり、離脱のリスクを高めます。
また、決済データが端末ごとにバラバラに管理されるため、データ分析が困難になり、顧客属性や購買履歴を横断的に把握できず、パーソナライズ施策やリピート促進も難しくなります。
結果として、競合店舗に顧客を奪われ、売上機会の損失につながる可能性が高まります。
【関連記事】日本のキャッシュレス決済の変化と動向!店舗の集客・売上アップに向けた対策とは?
売上・効率・顧客満足を高めるPOSシステム活用術

POSシステムを導入することで、レジや在庫管理など日々の業務の効率化から、売上データを活用した販売戦略の改善まで、一貫して店舗運営を強化することができます。
ここでは、キャッシュレス決済、ECサイト連携、顧客データ活用という3つの代表的な活用シーンを紹介します。
キャッシュレス決済による会計業務の効率化
POSシステムとキャッシュレス決済の連携により、クレジットカードや電子マネー決済、QRコード決済など、複数の決済手段を一つのシステムでスムーズに処理することが可能です。
例えば、オフィス街のカフェでは、朝のピークタイムでもスピーディーな注文・受け渡しが可能になり、レジ待ちによるストレスが軽減されます。
スタッフも会計処理に時間を取られず、商品の陳列補充やお客様への声かけといったサービスに集中できます。
ECサイト連携による在庫管理の効率化
POSシステムとECサイトの連携により、実店舗とオンラインショップの在庫を一元管理でき、在庫ロスの削減や販売機会の最大化など、オムニチャネル戦略の強化につながります。
これにより、ECサイトで購入された商品の店舗受け取りや、在庫切れ商品の他店舗からの取り寄せなど、多様な購買ニーズに柔軟に対応できます。
例えばアパレル店舗では、モバイルアプリから商品の予約が入るとスタッフはスマホで在庫を確認し、必要に応じて即座に取り寄せ。お客様の来店予定に合わせて、事前に在庫を確保することが可能です。
お客様がECサイトでチェックした商品を、実際に手に取ってもらうことで顧客体験の向上と、問い合わせ対応の削減という双方のメリットが得られます。
顧客にパーソナライズしたマーケティング
POSシステムに蓄積された購買履歴や来店頻度、性別・年代といった属性データを活用すれば、顧客一人ひとりに最適なアプローチが可能になります。
例えば、以下のようなパーソナライズ施策が効果的です。
- 誕生日が近いお客様に、自動でバースデークーポンを配信
- 最終来店日から一定期間来店がないお客様に、再来店を促す割引DMを送付
- 特定ジャンルの商品を繰り返し購入しているお客様に、関連商品や新商品の情報をLINEなどで提案
- ポイント獲得数が一定以上の顧客に「期間限定ポイント2倍デー」の案内を配信
こうした取り組みは、お客様に「自分だけに届いた特別な提案」と感じてもらえるため、満足度や信頼感の向上に寄与します。
結果として、再来店率の改善やLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。
POSシステムの導入から運用までの流れ

POSシステムを導入する際は、まず「なぜ導入するのか」という目的を明確にしておくことが重要です。
例えば、業務効率の向上や在庫管理の精度向上、キャッシュレス決済の対応強化など、目的によって最適なシステムは異なります。
また、店舗で導入したいキャッシュレス決済サービスがある場合には、POSシステムとの連携可否も事前に確認しておきましょう。
以下は、POSシステム導入の一般的な流れをまとめたものです。
導入ステップ | 内容 |
1.導入目的の明確化 | 課題や導入目的(業務効率化、データ分析、決済対応など)を整理する。 |
2.POSシステムの種類検討・選定 | 業種・店舗規模に合ったPOSシステムを検討。希望する決済サービスとの連携可否も確認する。 |
3.資料請求・問い合わせ・見積もり依頼 | 複数のPOSベンダーに資料請求・問い合わせを行い、見積もりを含めて比較検討する。 |
4.契約締結 | 選定したPOSシステムのサービス内容と条件を確認し、正式に契約を結ぶ。 |
5.導入前の準備 | 機器設置の段取り、店舗情報やメニューの登録などを事前に準備する。 |
6.システム設置・構築・初期設定 | POS機器の設置、配線工事、ソフトウェアインストールや初期設定を実施。 |
7.スタッフ教育・操作トレーニング | スタッフに対して操作方法や基本的な運用ルールを研修する。 |
8.運用開始 | POSシステムの本稼働を開始し、業務に組み込む。 |
9.保守・サポート・アップデート | 定期的なメンテナンスやアップデート、万が一のトラブル時のサポート体制を確保する。 |
レジの“ワンオペ化”をPOS連携でサポートする「IntaPay」

年々需要が高まっているQRコード決済は、POS連携によりさまざまな業種の店舗・施設に業務効率化と利便性向上をもたらします。
「インタセクト・コミュニケーションズ株式会社」が提供するマルチQRコード決済アプリ「IntaPay(インタペイ)」は、国内外の主要なQRコード決済ブランドを簡単に一括導入できるサービスです。
【IntaPayが選ばれる理由】
- POS連携によりQRコード決済を簡単に導入・運用できる
- シンプルな操作でレジ業務の効率化がアップ
- PayPay、d払い、楽天ペイなどの国内主要の決済ブランドを網羅
- WeChat PayやAlipay+対応により、インバウンド対応を強化
- POS連携・タブレット型・決済端末型・ステッカー型・券売機型・オンライン型などの多様な導入方法に対応
- QRコード決済履歴のデータ蓄積・分析でマーケティング施策の改善を支援
IntaPayは、月額費用0円で国内外の主要なQRコード決済に一括対応し、さらにPOS連携によるオペレーションの効率化にも寄与します。
どのような業種・業態にもマッチするQRコード決済アプリのため、ぜひこの機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
POSシステムは、店舗のレジ業務を効率化するだけではなく、キャッシュレス決済との連携でリアルタイムなデータ収集・分析を実現し、店舗運営を改善します。
これからPOSシステムを導入する場合、自店舗で需要の高いキャッシュレス決済との連携性を考慮することが非常に重要です。
「IntaPay」は、POS連携による会計自動化・データ蓄積・分析を迅速に実現するマルチQRコード決済アプリです。
シンプルな操作と国内外の決済ブランドの一括対応により、店舗のオペレーション課題を解決し、さらにキャッシュレス志向の顧客獲得もサポートします。
まだ導入を迷われている方も、お気軽にご相談いただけます。店舗に合った方法を一緒に考えさせていただきますので、まずは一度お問い合わせください。