中国で大人気の小紅書(rednote)を活用し、中国からのインバウンド客を獲得したいと考えていませんか?

rednoteは、若年層の女性から絶大な支持を受けているSNSであり、Instagramのようなビジュアルのフィード投稿やライブ配信、さらにはEC機能まで備えています。

近年、日本企業がrednoteで公式アカウントを運用し、中国からのインバウンド需要を取り込む動きが増えてきています。

この記事では、rednoteの基礎知識から今話題のコンテンツ、企業がインバウンド対策で活用する方法まで徹底解説します。

小紅書(rednote)とは

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画像出典元:rednote|Google Play

小紅書(rednote)は、中国本土の若年層の女性を中心に利用されている、ライフスタイル共有型のSNSです。

Instagramを彷彿とさせるビジュアルの画像・動画投稿機能や、AmazonのようなEC機能が特徴で、主にファッションやコスメ、グルメ、旅行に関する口コミや商品レビューの投稿が多く見られます。

2013年、口コミ特化型のSNSとしてリリースされたrednoteは、EC機能を搭載して特定の商品レビューやブランド情報を探しやすいSNSに進化しました。さらに、ライブコマースや広告プラットフォームなどの機能を拡充し、ユーザー獲得に強いSNSとなりました。

中国で影響力のあるインフルエンサーを活用した口コミ投稿やライブコマース、rednote広告の運用などでインバウンド対策を強化できるとして、日本企業からも注目されています。

小紅書の正式名称と通称

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Screenshot

画像出典元:rednote|Google Play

小紅書の正式名称は、「rednote(レッドノート)」です。

中国では、多くのユーザーが「RED BOOK(レッドブック)」や「RED(レッド)」という通称で読んでいます(以下、RED表記)。

Google PlayやApple StoreでREDをダウンロードする際は、「rednote」「小紅書」「xiaohongshu」といういずれかの正式名称で検索しましょう。

なお、小紅書は中国語で「小红书」と書き、「xiaohongshu(シャオホンシュー)」と読みます。

小紅書(rednote)の利用者数と影響力

SNSを利用する女性のイメージ

REDは2013年に誕生して以来、サービスの進化とともに多くのユーザーを獲得してきました。

現在の利用者数や影響力について詳しく見ていきましょう。

月間アクティブユーザー数3億人を突破

REDの月間アクティブユーザー数(MAU)は、2025年1月時点で3億人以上といわれています。

中国最大のSNSは「WeChat」で、MAU13億人以上と圧倒的な数字を誇ります。

そんな中、REDは単なる口コミ特化型のSNSに留まらず、EC機能の搭載やKOC/KOLとのコラボレーションによって、大手と呼ばれる市場規模に成長しました。

KOCとは、一般消費者でありながらSNSで多くの人に影響を与える人物のことです。KOLは、特定分野において専門知識や影響力を持つ人物を指します。

現在のREDは、商品のリアルな体験を共有し合うコミュニティとして確立されており、企業にとってもブランドの認知度向上や顧客エンゲージメントを高められる場として活用されています。

ユーザーの約85%がZ世代

REDのユーザー割合を見ると、約85%がZ世代(1990年生まれ以降)であり、特に20〜30代のホワイトカラーの女性に支持されています。

ユーザー全体の7〜8割が女性であり、最近は男性ユーザーが増加の傾向にあります。

事業者目線で注目すべき点は、ユーザーの半数以上が一線・二線都市に住んでいるという特性です。これは、比較的高い購買力を持っており、ブランド品や高品質な製品に敏感なユーザーが多いと読み取れます。

REDで越境ECを出店する際は、ユーザーの属性に応じた商品選定やプロモーションが成功の鍵を握ります。

小紅書(rednote)の主な機能と利用目的

SNSに対する「いいね」

REDは、日本でも馴染みのあるInstagramと同じような機能が多数搭載されています。

ここでは、具体的な機能と概要について詳しく解説します。

rednoteの機能一覧

REDでは、画像・動画投稿やライブ配信、ライブコマース、EC(出店・販売・購入)などの多様な機能を利用できます。

SNSとしての情報発信機能とECプラットフォームとしての購買機能を備えており、消費者と事業者の接点を作れるツールでもあります。

主な機能説明
フィード投稿数枚の画像や動画と200文字以下のテキストを、ハッシュタグを添えて投稿・共有できる
投稿へのリアクションコメント、いいね、共有、ブックマークが可能
ハッシュタグ特定トピックや商品情報をスムーズに検索できる
買い物リスト興味のある商品をブックマーク登録し、すぐに購入できる
Exploreユーザーの閲覧履歴やアクション(いいね、コメント、フォロー)に基づき、最適なコンテンツをフィードに表示する
Followフォロー中のアカウント投稿を一覧表示する
Nearby位置情報を基に、周辺エリアの投稿をピックアップする
ライブコマース動画配信を通じて、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら商品レビューや販売促進を行う
ストア一般ユーザーが利用できる商品購入画面
EC機能ビジネスアカウントを作成し、小紅書(RED)内に店舗を開設・運営できる
広告機能インフィード広告・トップバナー広告・動画広告などを活用し、公式アカウント投稿や商品レビューへ誘導(外部サイトへの遷移は不可)

rednoteの利用目的

REDは、一般ユーザーとEC事業者双方で利用目的が異なります。

一般ユーザーの場合

RED(小紅書)は、SNSとEC機能を兼ね備えたプラットフォームですが、多くの一般ユーザーにとっての最終目的は単なる「購買」ではありません。

REDの中心は、同じ価値観や趣味嗜好を持つ消費者同士が繋がり、信頼関係を構築することです。

例えば、最新のファッションや美容トレンド、人気の旅行先やグルメの情報源としてREDを活用します。そして、話題の商品の効果効能や旅行先での実体験を口コミやライブコマースを通じて知り、購買や店舗訪問を判断。

このようなプロセスで、ユーザーのリアルな声に共感した者同士がコミュニティを形成し、情報共有や交流が活発に行われています。

EC事業者の場合

EC事業者は、RED内で公式アカウントと店舗を開設し、商品をシームレスに販売できるメリットがあります。

中国の顧客を獲得したい越境EC事業者や、インバウンド需要を取り込みたい海外の店舗にとっても、マーケティング戦略の幅を大きく広げる選択肢となります。

KOC/KOLや一般ユーザーによる商品レビューを通じて、認知度向上や商品の購入に繋げることが可能です。

また、ライブ配信を通じて、消費者とリアルタイムにコミュニケーションを取りながら販売ができるため、購買意欲の高い顧客を逃さず獲得しやすい側面もあります。

さらに、ブランドストーリーや商品・サービスの購買体験を魅力的に発信すれば、オフライン店舗の集客効果を高めることができ、インバウンド対策を強化できます。

小紅書(rednote)で盛り上がっているコンテンツ

インフルエンサーによるライブコマースの様子

REDでは、人気のインフルエンサーによるライブ配信や、旅行・グルメ関連の投稿が高いエンゲージメントを誇ります。

ここでは、最新のREDで特に人気のあるコンテンツについて解説します。

KOLや芸能人によるライブ配信

REDのライブ配信は、特にKOLや芸能人によるコンテンツが多くの視聴者を集めています。

2024 RED BOOK(小紅書)マーケティング完全ガイド」によると、2024年4月、公式アカウントによるライブ配信は昨年比で5倍に増加しました。視聴者からの商品オーダー数は12倍に急増し、売上高約2,000万円(100万人民元)を超える店舗が7.4倍に増加した実績があります。

ライブ配信の成功要因とされているのが「インフルエンサーの出演」です。インフルエンサーによっては、短時間での出演にもかかわらず非常に高いエンゲージメントと売上を記録しています。

ライブコマースにおいては、高級ファッションとスキンケアというジャンルでのが、多くのREDユーザーの購買体験に繋がっています。

グルメ情報

中国では「何を食べるか」を決める際、検索エンジンよりもSNSを利用する傾向が強く、REDは重要な情報収集ツールとなっています。

視覚的に美味しさを伝えられるREDの特性上、視聴者の食欲を刺激する料理やおしゃれな店内の写真・動画が注目を集めています。

また、投稿に料理の魅力を伝える写真・動画に加え、店舗の位置情報や商品タグを付与すれば、ユーザーがワンクリックで詳細情報や購入ページにアクセスできるようになります。

さらに、訪日中国人観光客向けには「日本で食べるべきグルメ5選」「人気の和牛レストラン特集」といったランキング形式の投稿も人気です。

日本の飲食店や観光地向けレストランがREDを活用すれば、訪日前に情報収集を行う中国人インバウンド客に効果的なアプローチができます。

rednoteで人気の日本の旅行・お買い物情報

訪日中国人観光客によるインバウンド消費が増加している背景もあり、REDでの日本旅行に関するコンテンツは非常に人気が高いです。

例えば、日本旅行の実体験を紹介する「没入型日本旅行」の投稿が人気で、ディズニーランドの一日体験や、京都で着物をレンタルした観光地巡りなどが高いインプレッションを獲得しています。

リアルな旅行ハイライトが共感を生んでおり、訪日予定のユーザーの興味関心を煽る要因となっています。

さらに、桜の名所や富士山の紅葉スポットなど、四季折々の日本の景色を紹介する投稿も人気です。加えて、日本のお土産情報も需要が高く、春節や中秋節向けのギフト特集が購買意欲の高いユーザーに刺さるコンテンツとなっています。

小紅書(rednote)を日本企業が利用する方法

オンラインショッピング

REDでは、企業が公式アカウントを作成し、インバウンド客に向けたブランド認知度向上や集客施策を行なえます。

以下で、企業がREDを運用する2つの方法を詳しく解説します。

rednote公式アカウントの運用

中国企業に限らず、海外企業もREDで公式アカウントを登録できます。

公式アカウントでは、通常のフィード投稿やライブコマース、広告出稿を通じて、ブランディングや商品の訴求・販売が可能です。

【公式アカウントの主な運用方法】

  • 新商品や人気商品のPR投稿
  • 投稿を通じた実店舗への来店促進
  • ライブコマースでの商品紹介や消費者との交流
  • インフルエンサーを活用した商品PR
  • 商品販売(EC機能)
  • RED内での広告出稿
  • 広告を活用したキャンペーンの実施
  • オンライン授業の提供

なお、公式アカウント登録の審査には、中国語で作成した書類や中国語での連絡、中国本土で使用可能な電話番号が必要です。

自社で対応が難しい場合は、中国越境ECにおける販路拡大からREDでの販促活動まで支援する「インタセクト・コミュニケーションズ株式会社」にぜひご相談ください。

越境ECの運営

公式アカウントを作成後、必要書類の提出・申請、出店費用の支払いをすれば、RED内に商品販売ページを開設できます。

商品情報の投稿にタグを付けて販売ページに遷移させたり、ライブ配信中にリアルタイム購入を促したりすることで、RED内で完結するスムーズな購買体験を与えられます。

【REDの越境ECの特徴】

項目内容
初回登録費用約12,000円(600人民元)
運用費用(2年目以降)約12,000円(600人民元)
保証金中国企業:約2万円(1,000元)〜海外企業:3,500米ドル〜
販売手数料売上額の5%(一律)
手数料免除条件売上額が1ヶ月で約20万円(1万元)以下の場合、手数料免除
決済方法Alipay・WeChat Payでの決済を日本円に自動変換
主な機能商品ページ作成、販売、決済、配送、購買データ分析 など

出典元:小紅書(RED)サービス規定

ECの売上アップには、ブランドや商品に対する口コミ・レビューなどのUGC生成が欠かせません

ブランドイメージを効果的に訴求する投稿やライブコマースの実施が、REDユーザーの共感を生み、越境ECの成功に繋がります。

小紅書(rednote)を活用したインバウンド対策

SNSにスマホで写真を投稿する様子

企業がインバウンド対策のためにREDを使う場合、KOC/KOLの活用やライブコマースの実施、広告運用などが具体的な施策となります。

これらの施策について具体的な内容を解説します。

KOC/KOLを活用した口コミ投稿

ブランドや商品の認知度向上には、影響力の高いKOC/KOLに自社商品・サービスを利用してもらい、その口コミやレビューを投稿してもらうプロモーションが効果的です。

KOC/KOLを選定する際は、フォロワー数や自社ブランドとの親和性、インバウンド施策との相性を考慮しましょう。

例えば、フォロワー数が10万〜100万以上であり、美容・ファッション・コスメ・お土産・観光といったジャンルと相性の良いKOC/KOLの起用により、高い効果が期待できます。

ライブ配信で自社商品をリアルタイムにレビューしてもらう、店舗・施設に来店してもらい、サービスの感想をありのまま発信してもらうなどして、KOC/KOLが持つファンの共感を得ましょう。

また、顕在ニーズを持つユーザーが、RED内で簡単にコンテンツを見つけられるよう、ハッシュタグを活用することも大事です。

商品レビューとライブコマース

REDのユーザーは購買意欲が高く、最新トレンドや高品質な商品を求める傾向にあります。

商品情報をただ投稿し続けるだけでは、口コミ・レビューを信頼して行動を起こすREDユーザーに自社商品を購入してもらえません。

そこで、口コミ・レビューを効率よく生み出すためのコンテンツとして、ライブ配信によるデモンストレーションや、ライブコマースによる視聴者とのコミュニケーションが不可欠です。

特にライブコマースは、視聴者の質問に答えながらリアルタイムに悩みを解消し、購買行動を効果的に促進できる有効な施策です。ライブコマース限定のプレゼントキャンペーンや割引クーポンの提供も行えば、視聴者の関心を強く惹きつけることができます。

さらに、KOC/KOLとのコラボにより、プロモーション効果の最大化が期待できます。

ターゲティング広告の運用

REDで広告を運用するなら、日本の観光地やブランド・商品に強く興味を示す若い女性をターゲットとしたアプローチが効果的です。

例えば、苺タルトが有名なカフェでは、20〜30代の女性に向けて「東京で絶対に食べたいおすすめスイーツTOP5」というインフィード広告で自店舗を紹介します。

最新トレンドのコスメを取り扱っている化粧品店では、起動時に画面いっぱいに表示されるフルスクリーン広告を活用し、KOC/KOLによる使用シーンを含めたビジュアルの訴求で来店を促すといった運用が可能です。

データに基づいてターゲットの興味関心を的確に捉え、広告とKOC/KOL投稿を組み合わせることが、訪日中国人観光客の集客成功に繋がります。

まとめ

中国市場におけるインバウンド対策として、月間3億人以上のアクティブユーザーを抱える小紅書(rednote、通称RED)には多くの可能性があります。

特に、KOC/KOLを活用した口コミ投稿や、消費者とリアルタイムにコミュニケーションを取れるライブコマースは、ブランドの認知度と信頼を高める有効な手段です。

これらの施策は、訪日中国人観光客の購買行動にも直結するため、実店舗への集客や越境ECの売上アップにも期待が持てるでしょう。

REDを活用したマーケティング戦略をさらに詳しく知りたい方は、ぜひ関連記事をご覧ください。

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