中国最大のチャットアプリ「WeChat（ウィーチャット）」は、メッセージングツールの枠を超え、マーケティング・販売・決済を一体化した強力なプラットフォームへと進化しています。
このWeChatを日本企業がマーケティングツールとして活用する場合、WeChat公式アカウントの開設が必要です。
WeChat公式アカウントは、企業・ブランドと顧客に接点をもたらし、双方コミュニケーションによって新たな購買体験やエンゲージメントを提供します。
この記事では、日本企業に向けて、WeChat公式アカウントの開設手順から効果的な運用方法まで徹底解説します。
WeChat公式アカウントとは
WeChat公式アカウントは、中国のIT大手テンセント社が提供するWeChat内の企業向けマーケティングツールです。
日本企業も開設可能で、中国市場への進出や新規顧客の獲得手段として注目されています。
例えば、コンテンツ配信によるブランド訴求やクーポン配信での購買促進、ミニプログラムを通じたECサイト誘導など、多様な機能が充実しています。また、チャット機能で顧客サポートを強化し、クーポンや限定オファーでリピート購入を狙うことも可能です。
さらに、データ分析を活用してユーザーの興味関心や属性に基づいたセグメント配信が行えるため、効果的なマーケティング戦略の立案に役立ちます。
中国市場攻略を目指す企業にとって、WeChat公式アカウントは欠かせないツールです。
WeChat公式アカウントの開設手順と必要書類
日本企業がWeChat公式アカウントを開設するには、まずアカウント登録を済ませ、その後にアカウント認証が必要です。
その具体的な流れと申請に必要な書類を説明します。
公式アカウント登録の流れ
まずは「WeChat公式サイト」にアクセスし、上部メニューにある「立即注册（今すぐ登録）」をクリックしましょう。
次に緑のアイコンの「サービスアカウント（服务号）」を選択します。
基本情報を入力画面に移ったら、必要事項を全て記入しましょう。
アカウントタイプの選択画面では「企業アカウントのみ申請可能」です。
続いて、企業情報と管理者情報を登録しましょう。企業名・企業登録番号・管理者情報（IDカード、パスポート、運転免許証のいずれか）の登録が必須です。
最後に、アカウント情報（アカウント名、機能の説明、運営地域など）を入力し、公式アカウントの登録が完了します。
登録だけでは正式なアカウントとして認められないため、さらにアカウント認証を完了させましょう。
画像出典元：https://developers.weixin.qq.com/
公式アカウント認証の流れ
公式アカウント登録後、以下の流れで認証を行います。
- 利用規約を確認して「同意」する
- 必要書類を提出する（テンプレートに従い、各項目を正確に記入）
- アカウント名を確認する（商標を使用して認証を行う場合、商標登録証の提出が必要）
- 発票（請求書）の確認（発票を希望しない場合、後から請求書の発行は不可）
- 認証費用をWeChat PayまたはVisa/Masterカード支払う（99米ドル）
必要書類の提出と認証費用の支払い後、7〜15営業日を目安に審査が完了します。審査の結果は「設定→WeChat認証→結果確認」でチェックできます。
企業間の合併や企業名の変更により、登録済みの企業情報を変更する場合、再度認証の申請と認証費用が必要です。
公式アカウント認証の必要書類
中国本土以外の公式アカウント認証には、以下の書類が必要です。
- 企業登録証明書または商業許可証
- 担当者の身分証明書のカラーコピー（正面・裏面）※パスポートまたは運転免許証でも可
- 申請公文書（中文簡体・中文繁体・英語・日本語・韓国語版）
- 運営許可書（中文簡体版・英語版）
- 担当者の電話料金明細書（提出が難しい場合は、会社電話の明細書（社印必須）または銀行取引明細書の提出も可）
- その他の証明書類（商標名義での申請の場合は、商標登録証または商標許可書）
事前にこれらの書類を準備しておくと、WeChat公式アカウントの開設がスムーズに進みます。
WeChat公式アカウントでの認知拡大・フォロワー増加戦略
公式アカウントは、企業がファンを集め、ユーザーとの関係を深めるための重要なツールです。
継続的にクオリティの高いコンテンツを発信することで、ユーザーのロイヤルティを高められます。
さらに、サービスアカウントを活用し、新商品の告知やプロモーション情報をタイムリーに届けることも可能です。
ここでは、WeChat公式アカウントの運用において、認知拡大やフォロワー増加に効果的な戦略を解説します。
①ビジュアルとテキストで訴求力アップ
WeChat公式アカウントでフォロワーを増やすには、視覚的なインパクトとわかりやすいメッセージにこだわるのが鍵です。
例えば、美容サービスにおいて、新商品とモデルのコラボ写真を掲載し、その使用方法や効果をわかりやすく訴求したところ、短期間でフォロワー数が20％増加した事例があります。
顧客の目を奪うようなビジュアルと心に響くメッセージの組み合わせが、商品の魅力を効率的に伝え、ユーザーの興味を引きつけます。
②トレンドを加味したコンテンツで話題性を創出
注目度の高いドラマやトレンドに関連したコンテンツの発信は、幅広い層の消費者の関心を集めます。
例えば、アパレルブランドが人気ドラマで使用された衣装を取り上げ、そのスタイリングを再現した投稿を行った結果、関連商品の売上が増加し、閲覧数や共有数も大幅にアップした事例があります。
トレンドを上手に取り入れたコンテンツは、新規フォロワーの獲得に繋がりやすい有効な戦略です。
③インタラクティブセッションでエンゲージメントを高める
インタラクティブセッションとは、SNSでよくある「いいね」や「コメント」に近い機能で、ユーザーとコミュニケーションを取るための重要なツールです。
画像とテキストを使い、質問・抽選・投票などのインタラクティブセッションを設定し、ユーザーが気軽にコメントやシェアに参加できるよう促します。
ある飲食店アカウントでは、「一番好きな料理は何ですか？」という質問を投稿しました。そして、その質問にコメントし、いいね数10件以上を満たしたユーザーに抽選でクーポンをプレゼントしたところ、多くのコメントとシェアが集まりました。
こうした双方向のコミュニケーションを活用することで、フォロワーとの距離を縮め、リピート率や拡散力の向上にも繋がります。
④KOLコラボのライブ配信
KOLとコラボしたライブ配信は、フォロワー増加に絶大な効果を発揮します。
その成功の鍵は、事前の告知と効果的なプロモーションです。具体的には、ライブ配信の日時やテーマ、特典を公式アカウントで告知し、視聴予約を促すことがポイントです。
さらに、メニューバーやプッシュメッセージ、記事内リンクを活用して予約ボタンを設置すれば、ユーザーはワンクリックで予約が可能になります。
例えば、ある越境ECサービスでは、SNSやインターネット上で影響力を持つインフルエンサー「KOL」を起用し、ライブ配信前にKOLの紹介や特別価格の商品情報を発信する予告配信を行いました。その結果、毎回数千人がライブ配信を視聴予約し、視聴者数やエンゲージメントの大幅増加に成功しています。
KOLとのコラボは、ファン層のフォロワーの獲得にも直結するため、数字に現れやすく即効性も高い施策です。
⑤期間限定割引で購買意欲を刺激
期間限定の割引や特典を提供することで、ユーザーの購買意欲を高め、売上アップを図ることができます。
例えば、中国で11月11日に開催される超大型ECセール「W11」期間中、あるECサービスアカウントでは、全商品20％オフ、300元以上の購入で50元割引、2つ購入すると1つ無料といったキャンペーンを実施しました。その結果、W11期間中の売上が通常より300％増加し、さらに5,000人の新規フォロワーを獲得しました。
短期的な割引キャンペーンは、新規ユーザー獲得と既存ユーザーの再購買を促進する効果的な手段です。
⑥抽選会＆プレゼント企画でエンゲージメント強化
期間限定の抽選会やプレゼント企画は、フォロワーの関心を引き、参加率を高めるチャンスです。
例えば、ある自動車サービスアカウントでは、新製品の発売に合わせて、車の使用権やカーナビ、ガソリンカードなどが当たる抽選会を実施しました。参加条件として、アカウントフォローやイベントのシェアを推奨した結果、ファン数とブランド認知度が大幅に向上しました。
抽選会を通じてユーザーとの接触機会を増やすことが、エンゲージメントを効果的に高めるポイントです。
⑦限定特典で会員ロイヤルティを向上
会員限定の特典や無料トライアルの提供は、ファンの帰属意識を高め、ロイヤルティを強化します。
例えば、ある母子サービスアカウントで、期間限定で会員向けの親子講座や子育て情報パッケージを無料提供しました。その結果、多くの新規ユーザーがメンバー登録し、アカウントフォロワー数も増加。既存メンバーのリピート率も向上しました。
限定特典は、「今だけ」や「会員限定」といった希少性を強調し、ファンのエンゲージメントをさらに高めることができます。
WeChatミニプログラムと連携したシームレスな購買体験
WeChat公式アカウントとミニプログラムを連携させることで、ユーザーのショッピング体験向上と売上増加を狙えます。
具体的には、公式アカウントのメニュー機能やテンプレートメッセージなどを活用してユーザーをミニプログラムへ誘導することで、アプリ間の遷移を伴わないシームレスな購買体験を提供できます。
ミニプログラム内で取得したユーザーデータの一部は、公式アカウントと連携可能なため、ユーザー情報の一元管理やリピート施策に活用できる点もメリットです。
中国のある百貨店では、公式アカウント内に会員メニューを設置し、クリックするだけでミニプログラムの会員ページにアクセス可能にしました。
ユーザーは、会員ページで自身の会員ランクや保有ポイント、利用可能なクーポンなどを確認し、そのまま商品購入に進むことができます。さらに、新商品や期間限定割引情報をテンプレートメッセージで配信し、直接ミニプログラムへのアクセスリンクを設けることで、購入促進を図っています。
このように、公式アカウントとミニプログラムの連携は、ユーザー体験の向上と売上拡大の両面で非常に効果的な施策といえます。
WeChat広告の種類と期待できる効果
WeChat広告は、公式アカウントのフォロワー獲得やミニプログラム（越境EC含む）への集客を支援するプロモーション施策です。
WeChat広告施策には、以下のような多彩な種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 公式アカウント広告（公众号广告） | 画像とテキストを効果的に組み合わせた広告フォーマット。視覚的な魅力と文章で読者の関心を引きつけ、深いエンゲージメントを促進する。 |
| ミニプログラム広告（小程序广告） | ミニプログラム内に自然に挿入される広告。利用者の行動シナリオに合わせてタイミングよく表示し、クーポンやポイント特典を組み合わせることで購買行動を促進する。 |
| 検索広告（搜一搜广告） | ユーザーが商品やサービスを検索する際に表示される広告。検索キーワードに基づいてターゲティングが可能で、購買意欲が高いユーザーにリーチしやすい。 |
| 「見てみる」広告（看一看广告） | トピック別に集約されたページ内に表示される広告。注目のトピックやトレンドに関連付けることで、興味関心の高いユーザーに効果的にリーチできる。 |
| モーメンツ広告（朋友圈広告） | 友だちのタイムラインに表示される広告で、ブランドの存在感を強調。全画面表示や画像・動画の組み合わせでインパクトを与え、ソーシャルシェアを通じて認知度拡大を図る。 |
| 動画チャンネル広告（视频号广告） | 動画を活用した広告フォーマット。フルスクリーンで表示されるため、ユーザーの没入感を高めつつ、視覚的インパクトで商品・サービスの魅力を伝え、購買意欲を喚起。 |
WeChat広告は、季節のイベントと連動したクリエイティブな成功事例が多くあります。
例えば、テンセント社が企画した春節キャンペーンでは、オリジナルデザインの紅包（お年玉）封筒や、ユーザー参加型のインタラクティブなイベントで話題を集めました。
このカスタム紅包のような創造的なビジュアル演出が、ユーザーの興味関心を煽り、新たな顧客体験の提供に繋がっています。
WeChat公式アカウントの開設から運営まで「インタセクト」がトータルサポート
WeChat公式アカウントを通じて、効率的に新規顧客獲得やコアユーザー醸成を目指す場合、運営ノウハウを持つ専門業者に依頼するのが望ましいです。
インバウンドマーケティングで豊富な実績を持つ「インタセクト・コミュニケーションズ株式会社」は、WeChat公式アカウント開設・運営代行からミニプログラム構築、WeChat広告出稿まで、総合的な支援を行なっています。
【WeChat公式アカウント・ミニプログラムに関するサポート内容】
- WeChat公式アカウントの開設・運営代行
- ミニプログラムのサービス開発
- ミニプログラム内の越境EC開設
- ミニプログラムでのチケット予約・購入・表示・保存
- WeChatと連動したミニプログラム内でのクーポン配布など
公式アカウントでの効率的なフォロワー獲得戦略やマーケティング施策のノウハウも備えておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
▶インタセクトによるWeChat公式アカウント開設・運営代行のお問い合わせはこちら
【関連記事】WeChatミニプログラムとは？アプリの特徴や日本企業の活用事例を紹介
まとめ
WeChat公式アカウントの開設は、中国市場への進出やインバウンド需要を取り込みたい日本企業にとって重要なステップです。
公式アカウントを活用することで、ブランド認知の向上やターゲットユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能になります。さらに、ミニプログラムとの連携により、シームレスな購買体験の提供や、顧客データの一元管理も実現できます。
しかし、アカウントの開設から運営、認証手続きまでには、多くの準備と専門知識が必要です。
そんなときこそ、WeChat公式アカウントの運営ノウハウを持つ「インタセクト・コミュニケーションズ株式会社」のサポートが効果的です。
インタセクトは、WeChat公式アカウントの開設・運営代行、ミニプログラム構築、WeChat広告運用まで一貫したサポートを提供しています。
ミニプログラムの開発や越境ECの開設も含め、トータルサポートできますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。